相模原市獣医師会は、麻布大学と連携し「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」のモニタリング事業を開始しました。

最近、テレビや新聞でも取り上げられることが増えてきたSFTS。マダニを介して人や動物に感染するウイルス性の病気で、致死率が高く、特に猫は感受性が高いことが知られています。
これまで主に西日本で報告されてきましたが、関東でも感染リスクが無視できない状況になっています。そうした背景から、相模原市獣医師会では市民の皆さまと動物の健康を守るため、新たな取り組みを始めました。
SFTSとは?
SFTSは、マダニが媒介するウイルス感染症です。感染すると以下のような症状が見られます。
- 発熱
- 食欲不振
- 嘔吐や下痢
- 白血球や血小板の減少
人でも動物でも重症化しやすく、死亡例も報告されています。特に猫では重症化することが多く、人への感染が確認された事例もあるため注意が必要です。

なぜ今、注目されているのか
これまでSFTSは西日本を中心に報告されていました。しかし近年は関東地方でも感染のリスクが高まっていると考えられています。
2025年には秦野市でマダニに直接咬まれた人が感染した例が神奈川県から報告されました。犬や猫での感染報告はまだありませんが、すでに人での発症例がある以上、「自分の地域は大丈夫」とは言えません。
相模原市獣医師会の取り組み

相模原市獣医師会は麻布大学と連携し、SFTSのモニタリング事業を実施します。
市内の会員動物病院を受診したわんちゃん・ねこちゃんに、マダニの付着が見られた場合には、
- マダニ本体
- わんちゃん・ねこちゃんの血液
を対象に、SFTSウイルスが存在しないかどうかを無料で検査する事業です。
ただし、すでに症状が出ていて感染が疑われる場合は検査の対象外となります。そのような場合は、必ずかかりつけ動物病院にご相談ください。
相模原市ならではの注意点
相模原市は自然が豊かで、緑区の津久井地区をはじめ、キャンプ場やハイキングコースも多くあります。
また、相模原公園や淵野辺公園、ドッグランなどでもマダニが潜んでいる可能性があります。
「散歩やレジャーに行ったあとにマダニがついていた」というケースは珍しくありません。自然と共生する地域だからこそ、予防と注意が大切になります。
飼い主の皆さんにできる予防
市民の皆さんが日常で気をつけられることもあります。
- 犬や猫にダニ予防薬を使う
- 草むらや山林など、ダニが多い場所への立ち入りを控える
- 帰宅後はペットの体をチェックして、マダニを見つけたらすぐに動物病院へ相談する
これらの小さな習慣が、ペットとご家族の健康を守ることにつながります。
まとめと今後の展望
SFTSは、まだ新しい病気でありながら、致死率も高く注意が必要な感染症です。
相模原市獣医師会では、地域の動物病院と大学が力を合わせ、モニタリング事業を通じて「地域の動物と人の健康を守る」取り組みを始めました。
これからもデータを蓄積し、市や関係機関と協力しながら安全な地域づくりを進めていきます。市民の皆さんには、ぜひこの活動に関心を持っていただき、日常での予防意識を高めていただければ幸いです。